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12月17日(日)   メリーゴーランド  (三重県四日市市)

 今年を締めくくるおやこ寄席は、おなじみメリーゴーランドでのおやこ寄席。
 昨年は、本当のクリスマス寄席になりましたが、今年は、一週間早めの開催。それでも、「ジングルベル」の出囃子で、一応は「クリスマス寄席」と銘打ち、軽快に始まりました。
 助演は、今年何度も登場して頂きました、宗助さん。
 解説もスムーズに進み、ネタは、宗助「商売根問」 文我「釜盗人」「あくびの稽古」「ふた子とぼたんなべ」。
 「ふた子とぼたんなべ」は、先月の倉吉でもご紹介しました、小学館「小学二年生」に連載中の、「レッツらっくごー!」からの一席で、「二八浄瑠璃」という古典ネタを題材にした話です。
 この連載も、三月号まで既に書き上げ、出版を待つばかりとなっています。今回の連載は、全て古典落語を基にした現代版落語でしたが、以前、「小学一年生」に全作新作で連載したときとは、また違った難しさもありました。
 しかし、お知り合いの5年生の娘さんが、この連載を読みたいが為に、「小学二年生」を買い、真っ先に「レッツらっくごー」を読んでは、「このサゲ良いなあ」とか「あっ、これ、あの噺のニューバージョンや」とか言って、家族にも読んで聞かせてくれているという話を聞いて、とても励まされたりしました。
 今年はこの他に、NHK教育での「えほん寄席」が20作出来上がり、前半10作は、ほぼ毎月放送され、後半も先週放送され、随分反響があったようで喜んでいます。ライブ公演に加えて、このような提示の場所が与えられましたことに、感謝しています。
 メリーゴーランドから15年ほど前に、全てが始まったおやこ寄席。来年の更なるバージョンアップを目指してがんばります。
 2月には、伊勢神宮内宮前のおかげ横丁を舞台に、メリーゴーランド主催の「あそびじゅつ」が開催されます。
 2泊3日の合宿形式で、大人は講演会、子どもたちは目一杯の遊び満載で、専門のスタッフが何人も付き、完全に別行動を取ります。その中で、子ども寄席も開催されますので、ご興味のある方は、メリーゴーランド(0593−51−8156)まで、お問い合わせ下さい。
 今年も、一年ありがとうございました。来年も引き続き宜しくお願いいたします。


 家に帰ると、お知り合いから毎年届けられる、雪の入った発泡スチロールの雪だるま。
 今年は、我が家も、玄関先に少しクリスマスの電飾を付けて、夜楽しんでいますが、暖冬でホワイトクリスマスが望めない中、冬を感じさせてくれるクリスマスプレゼントに感謝感謝。
 皆様も、楽しいクリスマスと良いお年をお迎え下さい。



12月10日(日)   石川県女性センター  (石川県金沢市)

 昨年は、雪の北陸自動車道を夜中、名古屋からひた走りましたが、今年は昨日の飛騨市から富山に出て、西へ走るコース。
 主催の野間先生から、「雪は全然降ってませんよ」とお聞きしていましたので、安心して飛騨を後にしました。
 富山へ出るまでの道は、渓谷の中を走る道。天気によっては、昨晩の内に金沢入りしようかとも考えていたのですが、この道は明るい中通るのが大正解の道でした。丁度12月1日に、残念ながら廃線になった「神岡鉄道」を横手に見ながら、紅葉の中を走るのは本当に気分の良いドライブで、また同時に、夜中、初めての者が走るには、少々危ない道でした。そう言えば、15年ほど前に訪れた、同じ岐阜県でトロッコ列車に乗ったときの風景もこのような感じでした。
 そうこうしている内に、車は富山の高速ICに入り、一路金沢へ。
 昨年、直前に連絡をもらって、少々慌てた天井もすっかり改修され、落ち着いた中での準備が整うと、200名近い親子連れの方々をお迎えしました。
 最初の解説コーナーで、いつものように「落語ってどんなものか説明出来る人」と聞いたところ、最初に返ってきたのが「適当にしゃべる話」という答え。いつもは、「楽しい話」「笑える話」「オチがある話」という答えが返ってくるのですが、これには客席も私も、思わず吹き出してしまいました。
 実は、私の落語の場合、この説明はとても的を得ているのです。同じネタをする時、一言一句変わらずしゃべる噺家と、その場その場で「適当」に言葉を選んで話を進める噺家と二種類ありますが、私は確実に後者のタイプなのです。ですから、今日の答えは、本当に胸をえぐられた思いだったのです。
 米平「手水廻し」 文我「おしりつねり」「権兵衛狸」。間にお囃子も紹介しました。
 たくさん集まったアンケートからは、「はずかしがらずにできたのが、すごかった」「おもしろくてまとめにくいおはなしを、ながびかないようにまとめてくれたのがうれしかったです」「ばかなはなしがいっぱいで、たのしかったです」「はじめてなのでよく分からなかったけど、話を聞くとわかりました」等々、嬉しい声が寄せられました。
 金沢でのおやこ寄席も、お陰様で8回目を迎え、おやこ寄席に通っていた子が、今では独演会の方に来てくれているという、私の一番理想とする形になっています。


 金沢市内には、私の大好きな骨董屋さんや、古本やさんがあちこちに点在しています。翌日は、ホテルを10時に出て、金沢市を後にしたのは4時半でした。会場の女性センターの近所にも何軒か発見することが出来、また来年も、訪れる楽しみが増えました。


12月9日(土)   船津座  (岐阜県飛騨市)

 暖冬とはいえ、山間部では雪が降り出しています岐阜県飛騨市。
 昨年は、二階から出入りをしたという、地元の方も驚くほどの大雪だったとか。今年も随分心配し、冬用タイヤにチェーン装備と準備万端で、「それでも四輪駆動でないと不安は残りますね。去年は、二輪駆動の車が動かなくなりましたから」という、主催者の船津座・副支配人、遠藤さんの電話口でのまじめな仰り方に、天気予報を一日に何回も見ながら、気が気では無かったのですが、幸運にも週の後半には、雨に変わり、前日の夜、無事神岡町の船津座に着きました。
 市長の肝いりで、昨年建てられたばかりという、「平成の芝居小屋・船津座」は、地元の木「ヒメコ松」がふんだんに使われ、入り口から入るなり、その雰囲気と言い、劇場の設えと言い、日本中の劇場をかなり見てきました私の目にも、何本かの指に入るほどの、素晴らしい出で立ちと器を兼ね備えた館になっています。
 神岡町は、ノーベル物理学賞受賞者、小柴昌俊氏が立ち上げに尽力された、スーパーカミオカンデでも有名ですが、鉱山でにぎわった往時が偲ばれる町並みは、紅葉豊かな、そそりたつ山々と、広い高原川の繰りなす大自然の中に、ゆったりとした時間を漂わせています。
 そこで、初めての開催となりましたおやこ寄席。
 演じましたのは、米平「犬の目」 文我「平林」「皿屋敷」。「平林」では、「ひらばやし」という読み方を忘れてしまった丁稚さんが、会う人ごとに教えてもらう、間違った読み方を口に出すたび、「ひらばやしー」と、客席から少し遠慮気味の、それでいて思いの充分こもった声が聞こえてきました。
 思わず笑みのこぼれる、後ろの大人の方々。
 子どもは、噺の世界に入り込むと、自分の身をその中に置いてしまいます。
 以前、「つる」という噺を演じたときも、「首長鳥が一羽、つるーーーと飛んできて」と、間違った言い様をする場面で、「あっ、ちがうちがう。つーーーやって」というせっぱ詰まった声が聞こえてきたものです。
 スーッと噺の中に溶け込める、柔軟な心の持ち様を、いつ無くしてしまったのか。
 子どもたちに会うたび、そのみずみずしさに刺激され、とても嬉しく感じる私です。


 いよいよ、12月です。11月も走って走ってしましたが、どうやら12月も走り続けるような気配です。
 今年、ライブ公演以外で一つの大きな柱になりました、NHK教育での「えほん寄席」。丁度第二弾の放送中です。ライブに来られない小さい子どもさんや、意外にも大人の方の間で話題になることも多かったらしく、DVD化の問い合わせも来ている様子。
 私も、如何なる展開になるのか、楽しみにしています。


11月26日(日)   銀座博品館劇場  (東京都中央区)

 おなじみになりました、東京銀座博品館劇場でのおやこ寄席。
 幕を開ければ、いつものように、落語博士もどきのおなじみさんと、初めて来てくれた子どもたち。
 助演は、大阪のおやこ寄席で大喝采を浴びた、ドラエモンこと桂米平さん。東京でも、舞台に顔を見せるなり、大拍手で迎えられました。
 米平さんとの息の合った落語の解説の後、米平「犬の目」 文我「赤ちゃんほめ」「かまぬすっと」「ごんべいだぬき」。合間に、お囃子の紹介を混じえ、恒例になりました米平さんのオバケもどきの幽霊には、大きな笑いのウズが起こりました。
 お囃子と言えば、太鼓や三味線、笛などで、噺家が登場する時に出囃子を演奏したり、噺の中で幽霊が出てくるような時に、効果音として演奏します。噺の中で入れる演奏を「ハメモノ」といい、大阪の落語によく使われます。
 今日の落語には、どれも入りませんでしたが、私のCDの中でも、「七度狐」や「皿屋敷」「池田の猪買い」などには、ハメモノがたくさん入っていますので、CDを聞くときにはそれにも注意して聞いてもらうと、より楽しくなると思います。
 噺家は、弟子入りすると、落語のお稽古と同時に、太鼓や笛のお稽古に励む人もたくさんいます。噺家とお囃子がうまくかみ合うと、グッと臨場感が高まり、噺により引き込まれるようになります。
 皆さんは、学校で主に洋楽器を習うと思いますが、機会があれば、こういう和楽器にも興味を持ってもらえると嬉しいです。


 気が付けば、11月も終わりに近づき、12月を迎えようとしています。町並みには、早々にクリスマスの飾り付けがなされ、私の机には、年賀状が積まれています。
 イヤな胃腸風邪が流行っているそうですから、気を付けて、今年一年の締めくくりにかかりましょう。


11月18日(土)   倉吉交流プラザ視聴覚ホール  (鳥取県倉吉市)

 本日訪れましたのは、鳥取県倉吉市。
 子どもの本屋さん「春秋書店」店主、磯江さんを中心とした「倉吉まちづくり協議会」が主催で、昨年から、おやこ寄席と独演会を催して頂いています。
 昨年来させて頂いた時は、夜、雨と霧の中、初めての山道を走ってきたので、随分不安な道中でしたが、今年はお天気も良く、磯江さんに教えて頂いた、走りやすい他の道を来ましたので、とても快適に到着することが出来ました。(着いたのは、夜中でしたが・・・・)
 今年の同行者は、助演の桂こごろうさんと、録音技師の草柳さん。
 草柳さんは、私の出していますCD全てを、録音して頂いている技師さんで、私と同じくらい落語の好きな方なので、いつも昔や今の落語の話で盛り上がります。
 こごろうさんは、私の兄弟子の桂南光さんのお弟子さんで、落語家の仲間内では「らくだはん」と呼ばれているくらい、お顔が「らくだ」に似ています。
 演じましたのは、こごろう「動物園」 文我「赤ちゃんほめ」「ダジャレゆうれい」「しの字丁稚」「さぎとり」の五席。「赤ちゃんほめ」と「ダジャレゆうれい」は、今年、小学館の学習雑誌「小学二年生」で連載しています中の二席で、「子ほめ」と「皿屋敷」という古典落語を、現代版に直した噺です。
 以前、「小学一年生」に連載していました「ごくらくらくご」は、ただ今2冊のCDブックになっていますが、今回の「レッツらっくごー!」も、いずれまとめて出版されるかもしれませんので、楽しみにしていて下さい。
 山陰地方は、丁度解禁になったカニが、美味しく頂ける土地です。今年も、溢れんばかりのカニ鍋で歓待して頂き、カニ好きの私には、二重の喜びとなりました。既に来年も11月17日(土)に決定して頂きましたので、再会を約束して、次の会場、島根県安来市を目指し、倉吉を後にした次第です。



 冬は、寒くてイヤな季節ではありますが、この時期ならではの美味しい食べ物を頂くと、身も心も温まります。冷たい風に吹かれても、心だけは豊かでいたいものですね。


10月28日(土)   難波ワッハ上方演芸ホール  (大阪府大阪市)

 10月も押し詰まり、秋も深まって参りました、今月最後の週末。
 今日は、本拠地大阪でのおやこ寄席。5月のゴールデンウィークにも催しました、難波にありますワッハ上方。5月には、ホールの予約が取れず、小さめの会場にて、2回公演にさせて頂きましたが、今回は演芸ホールでの開催となりました。
 出番は、私、文我の他に、宗助くんとまん我くんをお願いしていましたが、そこへ飛び入り参加となりましたのが、おやこ寄席ではおなじみの桂米平さん。突然の米平さんの登場に、子どもたちからは、「ワー、ドラえもんだあ。米平さーーーん。アンパンマーーーン。雪だるまーーー!!」と、すごい歓迎ぶり。
 私のお知り合いからも、「娘が、熱烈な米平さんのファンなんです」とお聞きしたことが、何度かありますが、こんなに圧倒的な支持を得ているとは、当の米平さんもビックリ。とても嬉しげでした。
 米平さんを実際見たことのない方のために、少しご説明しますが、大阪に200人程いる噺家の中で、一番体重の重いのが米平さんです。
 帯をぎゅっと締めた上にせり出したお腹は、大きなスイカを丸飲みしたような大きさで、大人の私が見ても、いつもすごいなあと思っているぐらいですから、客席から見上げている子どもたちの目には、どんなに大きく映っていることか。
 実際、米平さんより軽いお相撲さんが二人いるらしく、勿論食べることが大好きな御仁です。以前、大人の会で、おまんじゅうを食べる仕草をしていたら、客席から「美味しそう」という声が、思わず漏れたほどです。
 落語家は、やせているより、太っている方が、ほんわかと柔らかい雰囲気が出るので、米平さんが子どもたちに大ウケなのも納得がいく話です。
 さて、本日の演目は、宗助「始末の極意」、文我「胴切り」「しの字丁稚」。合間に、楽器を舞台に出しての、お囃子の紹介コーナー。
 米平さんにもお手伝いして頂いて、幽霊の出に付き物の、怖さを表す笛や太鼓、三味線の演奏をしましたが、汗を拭き拭き演じる幽霊役の米平さんが、とても幽霊に見えず、子どもたちが大笑い。
 米平さんのお陰もあって(?)、今日も、飛び切りの笑顔に会えた一日でした


 お昼と朝晩の気温の差がものすごく、体調管理が大変ですね。私も娘にもらった風邪を抱えながら、のど飴と風邪薬を片時も手放せません。
 笑いはばらまいても、風邪の菌はばらまかないように気を付けます。

9月30日(土)   おかげ横丁五十鈴塾  (三重県伊勢市)

 本日訪れましたのは、三重県伊勢市、伊勢神宮前に軒を連ねる、おかげ横丁の中にあります五十鈴塾。
 文我HPを覗いて下さっている方には、見覚えもあるかと思いますが、毎月みそかに催されています「みそか寄席」は、同じくおかげ横丁内の「すし久」が会場です。
 この「おかげ横丁」をまとめておられるのが、「赤福」というお餅を、伊勢神宮土産に販売している、その名も「赤福」というお店。
 こしあんでお餅をくるんだ「赤福」は、三重県人なら誰もが一度は口にしたことのあるお餅です。
 伊勢神宮内宮前全体を巻き込んだ「おかげ横丁」は、現会長が社長時代の一大事業で、縁合って、その出発当初から、私たちは「みそか寄席」という形で、15年以上も関わらせて頂いています。
 日に日に手が加えられていく横丁を、毎月「みそか寄席」で訪れるたび目にするのは、とても嬉しく、その一角に寄席の提灯を灯し続けてこられたことに、感謝感謝です。
 また、この「おかげ横丁」は、各地からのお客様をお迎えするため、季節ごとに種々のおもてなしを用意していますが、そのひとつに、9月29日を「来る福は、招き猫の日」と称し、毎年その前後の半月間、全国の招き猫を集めた「招き猫祭り」を催し、今年で12回を数えています。
 今年は、9月16日から10月1日まで開催され、30日は特に「招福」と「笑福」をかけ、みそか寄席も含め、子どもたちにも福をと、「来る福招喜寄席・おやこ寄席」が、催されました。 出演は、おなじみ米平さんの「動物園」、文我は「しの字丁稚」をつとめました。
 集まってくれたのは、大半が伊勢市内の子どもたちでしたが、ここでも中に一人、2年前のおやこ寄席で、小学生になっておられず、泣く泣くあきらめた男の子が、今年は晴れて小学生になりましたと来てくれていました。
 当時も、今回も、お母様からお手紙を頂き、却って恐縮した次第です。2年の間にCDや絵本で随分充電してくれていたのだと思います。しっかり最後まで楽しんでくれていました。


 明日から10月。私も10月11月は、おやこ寄席、独演会共に目白押し。札幌から広島、島根までひた走ります。来春お正月早々には、九州公演も決まりそうです。皆さんも、運動会に文化祭に、がんばって下さい。

9月16日(土)   十和田市中央公民館 (青森県十和田市)

 本日会場となりましたのは、松阪から新幹線や車を8時間ほど乗り継いでやってまいりました、青森県十和田市。今回は、去年に引き続き2回目のおやこ寄席。
 前回は、HPを立ち上げる直前の7月2日で、十和田公演から帰ってすぐ、このHPの管理人、佐藤氏がPCの手ほどきをしに、はるばる北海道の旭川から松阪に出掛けて来て下さり、晴れてHP開設となった次第です。というわけで、十和田のおやこ寄席が、このHPにお目見えするのは、今回が初めてということになるのです。
 去年のお正月も明けて間もない頃かかってきた、1本の電話。声の主は、この会の主催者、望月さん。『ようこそおやこ寄席へ』を読んで、かけてきて下さいました。
 「青森県の十和田で、おやこ寄席をしたいのですが」という申し出に、「ありがたい」と感謝はしたものの、あまりにも遠い土地だけに、本当に実現出来るだろうかと、不安は禁じ得なかったのですが、「せっかく行かせて頂くなら、夜、大人用の落語会を組んで頂くのは無理でしょうか」という申し入れに、「それはいいですね。やりましょう」と、即決のご快諾を頂き、その後は、会場の打ち合わせ、チラシ作成と順調に進みました。
 結果は、昼夜共に250名ほどのお客様をお迎えすることが出来、望月さん始めスタッフの方々と喜びを分かち合ったのですが、遠方ということもあり、2年続けては難しいのではと思っていたのです。 ところが、今年の年賀状に、「今年も実現の方向で考えています」とのお言葉。そして、この度2回目の開催が現実となりました。
 今年は、枝雀一門の桂こごろうさんが助演です。ネタは、こごろうさん十八番の「動物園」、文我が「しの字丁稚」と「うんまわし」を演じさせて頂きました。
 「動物園」は、英語落語でもよく演じられる、分かり易い話ですし、「しの字丁稚」「うんまわし」は、どちらも言葉遊び的な話ですので、初めての子どもさんにも楽しんで頂けたと思います。
 そして終演後、とても嬉しい報告をスタッフの方から聞くことが出来ました。
 実は、去年のおやこ寄席の折り、ひとりの女の子がお母さんと現れたのですが、どうも小学生の雰囲気ではありません。聞けば、やはり幼稚園とのこと。お母さんは、片道1時間かけてやって来られたことを切々と訴えられ、女の子も入れないと聞くなり泣き出したのです。私たちも入って頂きたいのはやまやまなのですが、やはり小学生でないと1時間半は無理だと思いますのでとご説明し、泣く泣くお帰り頂いたのですが、後の反省会でもスタッフの皆さんと随分話し合いました。その後、スタッフの方の行き届いたフォローもあり、今年1年生になったその女の子が、今度はお父さんも一緒にお出かけ頂いたというのです。
 先日、大阪の方からも、「1年生になるのを待ってやっとライブに行けました」という投稿を頂きましたが、こうしてこちらの意図をご理解して頂く方々のお陰で、「おもしろかったなあ。また来たいなあ」と思って頂けるおやこ寄席が作られていると、しみじみ思います。


 9月に入り、すっかり秋らしくなり、朝晩は肌寒いくらいだと思っていましたら、行きつけの病院から、インフルエンザの予防接種の案内をもらいました。噺家にとって、喉は命ですから、注射は大大大きらいですが、がんばって2回打ってきます。皆さんも気を付けて下さいね。

8月27日(日)   メリーゴーランド (三重県四日市市)

 いよいよ夏休み最後の日曜日となりました今日は、昨日の名古屋から車で30分ほど南へ下りました、三重県四日市。ご存じおやこ寄席発祥の地、メリーゴーランドでの公演です。
 お昼間は、駐車場を利用しての夏祭り。
 毎年恒例の、スタッフによる紙芝居に加え、今年は、高松から来られた松崎さんという、人間味あふれるお顔とお人柄の、香川県子ども文庫連絡会事務局長をされておられる方が、汗をふきふき焼くひと舟100円のたこ焼き屋さんが大はやり。
 おやこ寄席は、お祭りの終わる2時から。
 まずは、店主の’ひげのおっさん’こと増田さんの登場。
 「僕が子どもの頃は、こんなライブがなかったので、親所蔵の落語や浪曲のレコードをかくれて聞いていたものですが、何故かいつもばれてました。きちんと返したはずのレコードの位置が少しズレていたり、プレーヤーの回転数が違ってたり(笑)」という、短い時間の間に、子どもたちの雰囲気を一段上げてくださるごあいさつはサスガの一言です。
 どんな場面でも、あいさつは「短く、的確に」が大切ですね。
 ところで、メリーゴーランドや増田さんのお顔に会いたい方は、『絵本とキャラクター 月刊MOE』7月号に、店内を最近少しリニューアルされたメリーゴーランドが、全国の絵本屋さん100選のなんと巻頭4ページを写真一杯で飾っていますので、どうぞご覧になって下さい。私まで、誇らしくなってしまうような、嬉しい取り上げられ方です。
 しかも、次のページには、先月おやこ寄席をしていただきました、仙台の「横田や」さんも載っています。
 さて、話をおやこ寄席に戻しますが、今日は、私のお弟子さんのまん我くんが「牛ほめ」、私が「ごんべえだぬき」と「しゃっくり政談」を演じました。
 実は今、小学館の学習雑誌「小学二年生」で毎月、『レッツ!らっくごー』という連載を担当しているのですが、その編集者の方が、昨日の名古屋から引き続き、今日の公演にも取材に来られていました。 何月号かは定かではありませんが、おやこ寄席の模様や、扇子、手拭いを使っている様子が掲載されると思います。
 また、既に読んで頂いている方もおられるかと思いますが、5年前「小学一年生」に連載しました『ごくらくらくご』が2冊の単行本になって刊行されていますように、『レッツ!らっくごー』も単行本化される方向で進む可能性が出てきました。
 『ごくらくらくご』は私の作った新作落語でしたが、『レッツ!らっくごー』は古典落語を元に作りました噺ですので、違うおもしろみがあると思います。
 刊行が本決まりになりましたら、また報告致しますのでお楽しみに!!


 「暑い、暑い」と、うだっていた夏休みももうすぐ終わります。3学期制の学校も2学期制の学校も、取りあえずは9月が始まりますが、願わくば少し秋らしく、涼しく爽やかな季節になるといいですね。
勉強に、運動に、笑いに、皆さんがんばって。私も、着物を単衣に衣替えして、気分一新がんばります。

8月26日(土)   大須演芸場 (愛知県名古屋市)

 長かった夏休みもいよいよ最終の週末を迎えました今日は、名古屋大須観音の近くにあります大須演芸場にやってきました。
 実は、この演芸場には、私はひとかたならぬ思い出があるのです。
 私の芸人人生の出発点は、ここにあるといいますか、私が生まれて初めて生で演芸を見たのが、この大須演芸場だったのです。
 私は三重県松阪市の出身ですが、親戚のおじさんが名古屋に住んでいたので、幼稚園の頃連れて行ってくれたのです。
 その頃は、演芸場が最も賑やかな頃で、私が行った時も、客席一杯のお客さんが、漫才、落語、マジックなどのいろいろな演芸を楽しんでいました。
 実を言えば、その時の私には、落語は他の演芸よりも分かりづらく、あまり楽しめなかったのですが、それからいろいろな出会いがあって、中学生の頃には、落語家になろうと決めていたのですから、不思議なものです。
 さて、名古屋大まつりで市中がにぎわう中、130名ほどの親子連れの方々が、早い方は開演の2時間前から並んで下さいました。
 自分でもお話を覚えて、学校で披露している「落語博士」から、初めてライブを見る子まで、いろいろな子どもたちの集まってくれた中で、今日一緒に出てくれましたのは、桂宗助さんでした。
 宗助さんは、現在日本の落語界で唯一の人間国宝、桂米朝師匠の最後のお弟子さんです。元々、大阪の「フグ」料理店で働いていたという変わり種ですが、現在米朝師匠に一番口調が似ている噺家さんです。
 宗助「狸のサイコロ」、文我「かまぬすっと」「胴切り」の三席をつとめさせて頂きましたが、私がその昔演芸を楽しんだように、今日の子どもたちからも笑い声が聞こえてくるのは、とても嬉しいひとときでした。


 大須演芸場は、40年以上も続いている、とても雰囲気のある寄席小屋です。
 いつもは、一般興行といって、私が小さい頃見たような演芸づくしの会が、毎日お昼に催されていますので、近くに来る機会がありましたらまた覗いてみて下さい。

8月6日(日)   仙台市戦災復興記念館 (宮城県仙台市)

 東京公演から一夜明けて、翌5日は杜の都・仙台へと新幹線で移動。
 折しも東北三大祭り・七夕の前日とあって、夕方からは前夜祭の花火を見に行く浴衣姿の老若男女の人人人の波。駐車場がどこも満車で、迎えに来て下さった主催者の横田やさんも四苦八苦されていました。
 明けて翌6日は朝から会場準備。この会場はキャパが280名程度の本当に落語会用に作られたようなホールでした。
 会場によっては、照明、音響ひとつひとつに1時間以上かかる時もありますが、今回は全体の仕上げが1時間という楽々コース。スタッフの方も的確に動いて下さり大助かりでした。
 集まってくれた子どもたちは、ライブは初めてでも、CDはよく聞いていてくれる子が多く、「どんなネタが聞きたい?」と聞くと「時うどん」「平林」「まんじゅうこわい」と次々と声が上がりました。 「落語はいつ頃出来たでしょう」という問いかけに「飛鳥時代」と答える子がいたりして最初から大盛り上がり。
米平「犬の目」文我「しの字丁稚」「四人癖」も大笑いのうちにお開きとなりました。

 9月に行かせて頂く十和田の主催者の方も朝から出てきて下さっており、仙台の盛り上がりに十和田も負けじと思いを新たにされたようでした。
 町中はいよいよ七夕本番。日曜日に当たったこともあり、大変な人出でしたが、私たちはおやこ寄席のあと、「お寺で長編『地獄八景亡者戯』を聞く会」が控えてましたので、伊達家初代、二代当主のお墓があるという満勝寺さんに移動。
 七夕飾りで満載の商店街を歩いたのは7日の月曜日になりましたが、それでもバスツアーの人たちの波波波。3日間お世話をして頂きました横田やさんに、飾りの説明を聞きながら、吹き流しを頭でかき分け進みました。

 仙台には大人の会で、11月12日におじゃましますが、いつかまたおやこ寄席でお目に掛かれる日を楽しみにしています。

8月3日(木)・4日(金)   八重洲ブックセンター (東京都中央区)

 待ちに待った夏休みが始まりました。
 7月中は、少し長引いた梅雨に泣かされた日もありましたが、8月を迎えてからは真夏日が続いています。
 夏休みのおやこ寄席の先陣を切りましたのが、東京駅向かいにあります八重洲ブックセンター8Fギャラリーでの2日間。平日のお昼間でしたが、たくさんの親子連れの方が来て下さいました。遠くは、はるばる青森県八戸市より。頭が下がります。
 HPの掲示板に投稿して下さってます「武丸くんとぬきぱぱさん」にもお会いすることが出来ました。
 「らくごの解説」では、いつもの「落語家はいつ頃出てきたでしょう」という質問に「テレビの無かった時代」という「なるほど」と思わずうなずいてしまう答えや、「330年前」というどんピシャリの答えを出してくれる子がいたり、その後も質問ごとに次々と的確な答えが続き「落語研究会」並のお友達が何人か来てくれていました。
 極めつけは、2日間とも来てくれていた小学2年生の男の子。終演後のサイン会に手に持って現れたのが、私が大人の会でもめったに演じないネタを集めて出版しました「復活珍品上方落語選集」全3巻。 聞けば、おやこ寄席用の本やCDは全て持ってくれているとのこと。夏休み中に3冊とも読破してしまうのでしょうか。末が楽しみというか、末恐ろしいというか・・・。
 しかし何となく親しみを感じてしまうのは、40年前の私の姿をそこに見たような気がしたからでしょうか。
 演じましたネタは、3日が米平「手水廻し」文我「しゃっくり政談」「動物園」、4日が米平「元犬」文我「しの字丁稚」「胴切り」でした。「しゃっくり政談」は大阪では「次の御用日」というネタですが、今まで大人の会でも演じたことはありませんでしたので、少々不安でしたが、反応は上々。
 今回初めて主催して下さったブックセンターの方も、子どもたちの興味や知識、そして何より集中して笑い転げる姿に驚かれていました。

 次回東京でのおやこ寄席は、11月26日(日)博品館劇場が決まってますが、日に日にパワーアップする子どもたちに私も負けないようにその日に備えたいと思います。

7月16日(日)   大津市能楽堂 (滋賀県大津市)

 梅雨明け宣言をいつすべきか、気象庁の方も頭を悩ましておられるであろう7月半ば。
 今日のおやこ寄席は、滋賀県大津市にあります能楽堂で催されました。
 大津といえば、日本一大きい湖・琵琶湖に面した市で、東海道五十三次終着点・京都の一つ手前の宿場町であり、弁慶ゆかりの三井寺もある歴史情緒が一杯の町です。
 その三井寺から歩いて10分ほどの所にあるのが、大津市伝統芸能会館能楽ホールです。
 各地でさせて頂いているおやこ寄席ですが、能楽堂での開催は大津のみです。大人の方でもなかなか入ることのない能楽堂ですが、ご存じのように、能楽師の声はマイク無しで会場全体に届くようになっていますから、音の周りが大変良くとても聞きやすい空間になっています。
 大津でのおやこ寄席は6回目を迎えましたが、能楽堂では2回目になります今回は、文我が「さぎとり」「うんまわし」「胴切り」を演じました。
 初めのにも申しましたように、時期がこういう時だけに、朝から晴天だったにもかかわらず、開演中に雷が鳴り出し、ちょうど演じていました「胴切り」の前半、夜中のシーンに思わぬ効果音となりました。
 それにしても、何百もある落語の中でもSFの最たるネタである「胴切り」ですが、子どもたちは違和感なく噺に付いてきてくれます。ふっと立ち止まって想像しすぎないのがミソのようですね。

 案の定、明日からお天気は梅雨と台風とが相まって最悪のようです。控え来る真夏にもちょっと身構えてしまいますが、もうすぐ楽しい夏休みです。
 不順な天気に負けないようにがんばって下さい。

5月5日(金・祝)   横浜にぎわい座 (神奈川県横浜市)

 大阪のおやこ寄席から1日おきまして、やって参りました、中華街も楽しい横浜で4年前にオープンしました横浜にぎわい座。
 こちらは、落語、漫才、大道芸など大衆芸能の専門館として、横浜・桜木町の駅から歩いて3分の所、大通りに面した一等地に建てられており、毎日ほとんど日替わりで、いろいろな噺家の独演会や、にぎわい座有名会という「寄席興行」を行っています。
 館長さんは、私が生まれる前から噺家になる少し前までTBS系で20年間放送され、私もよく見ていました「ロッテ歌のアルバム」という番組の名司会者で、それ以降はずっと寄席番組に携わっておられる玉置宏さんという方です。
 私にとっては、このあたりは、にぎわい座ができる前から随分慣れ親しんだ所。と言いますのも、以前この近くに古本屋さんが一軒ありまして、東京方面に来るときは必ずと言っていいほど立ち寄っては、その都度何か購入させて頂いていたからです。今ではその古本屋さんも売る物がなくなったと店を閉められています。(一因は私かもしれません。何と申し上げて宜しいやら。)
 それはそれとして、にぎわい座での公演は去年に引き続きまして二回目となりますが、前回は大人の方向けの寄席囃子紹介とお囃子盛りだくさんの落語特集の会でしたので、おやこ寄席としましては今回が初めての試みでした。300名近い親子連れの方がお出かけ下さり、大人の方は二階席にもまわって頂いたようです。
 さていよいよ幕が開き、大阪同様、米平さんとの「らくごの解説」、米平「犬の目」、文我「七度狐」「平林」と進んだのですが、ここでは大阪とは違ったハプニング勃発。子どもたちは、他の公演地同様、終始楽しんでくれているのですが、その手にはなんとお菓子の袋。笑い声の合間に聞こえるお菓子を食べる音、音、音。
 そうなのです。私は忘れていました。ここは「寄席」。
 「寄席」は昔から客席での飲食可という場所なので、この新しくできたにぎわい座でも、それは許されている行為だったのです。
 前回、寄席囃子の会ではそういう光景が見られなかったので、私も本当にうっかりしておりました。勿論、許された場所で落語もお菓子も楽しんでくれた子どもたちには何の罪もないのですが・・・。
 会の終了後、にぎわい座のスタッフの方とも相談し、次回のおやこ寄席では、お菓子は終演後まで我慢してもらうようお願いしようということになりました。
このコーナーを読んで頂きました方、宜しくご理解頂ければ幸いでございます。

 色々びっくりすることのありました今年のゴールデンウィークのおやこ寄席でしたが、何はともあれ無事お開きとさせて頂きました。
今日から早立夏。大阪でも横浜でも半袖姿の子どもたちが見られましたのもうなずけますね。
あさってからまた普通の生活に戻ります。連休も二ヶ月近くありません。でも毎日何か楽しいことを見つけて笑っていましょうね。

5月3日(水・祝)   難波ワッハ上方レッスンルーム (大阪府大阪市)

 ゴールデンウイーク後半初日、恒例となりました大阪でのおやこ寄席。
 いつも会場に使わせて頂いています北の梅田、太融寺というお寺が改修工事をしておられるので、今年は南の難波、ワッハ上方レッスンルームでの2回公演となりました。畳は敷いてありませんが、ざぶとんを敷いて子どもたちはその上に座ります。おかげさまで150席程の会場は二部とも満席状態。
 熱気ムンムンの中、おなじみの米平さんとの「らくごの解説」が始まりました。
 「落語ってどんなものか説明できるかな」という質問に、「おもしろい噺」「昔の噺」「そうぞうりょくがつく」などなど、次々と帰ってくる的確な答え。特に‘そうぞうりょく’は‘想像力’とも‘創造力’ともなり、私が落語を説明する時にいつも使っている言葉ですので、思わず膝をたたきたくなりました。
 「落語はいつ頃出来たでしょう」という質問に、「ハイ!!」という元気な返事と共に返ってきた答えが「10年前!!」。
 「文我さんは26年前から落語家やってるんですけどね。でも文我になったのは10年前ですから嬉しい答えですね」とお礼を言う場面も。
 空気が和んだところで、落語のコーナーへ。
 一部は、まん我「牛ほめ」、米平「まんじゅうこわい」、文我「ごんべい狸」「月並丁稚」。二部は、まん我「狸のさいころ」、米平「動物園」、文我「かまぬすっと」と順調に進んで来たのですが、いよいよラストを締めくくるべく、二席目の「おたのしみ」は400年くらい前に出来た一番古い噺をしましょうと漢字の話をしだすと、ここでハプニング発生。
 子どもたちから「あッ、たいらばやしや」「ひらりんや」とあちこちからあがる声、声、声。
 気にせず続けるには少々難しい雰囲気に・・・。
 そこで、思い切って噺を止め「では、『平林』をしてほしい人と、違うネタをしてほしい人と、手を挙げてもらいましょう」ということにしました。結果は、違うネタ、しかもこわい話がいいということになり、CDに入っていない「一眼国」という噺に急遽変更。この噺は東京で一度演ったきりのネタでしたのでドキドキしながら始めましたが、少しこわい噺ですから、みんなもドキドキしながらとても集中して聞いてくれました。
 CDを一生懸命聞いてもらえばもらうほど、ライブでそのネタを聞きたいという意見と、それ以外のネタを聞きたいという意見が出てくるのは当然の流れですが、ライブの時には隠し球をいくつも持っていないといけないなと確信を強くした一日でした。

 我が家の周りは、田植えの終わった田圃、カエルを捕まえたヘビ、子育てに忙しいツバメ、目にまぶしい鮮やかな緑と春がいっぱいです。あまりの良いお天気に、花粉症のことも忘れて干した、太陽のにおいタップリのお布団に入るときは本当に至福の時間ですね。
 最終日以外はお天気に恵まれそうな今年のゴールデンウィーク。目一杯楽しみましょう。

3月25日(土)   うりんこ劇場 (愛知県名古屋市)

 桜の便りがちらほら聞こえてきました弥生三月。
 小学校、中学校の卒業式、終業式も全て終わり、春休み初日の土曜日。お天気は朝から快晴。
 12年前、名古屋でおやこ寄席を始めたときからずっと使わせて頂いている名東区のうりんこ劇場に、伊勢自動車道、東名阪自動車道を乗り継いで、11時頃到着。助演の紅雀さんは大阪から、朝8時発の近鉄アーバンライナーで来てもらうようにお願いしていたのですが、7時30分頃には既に満席状態とのことで、別の電車に乗ってきてもらうことになり10分ほど遅れて到着。そういえば私たちの走ってきた東名阪も下り車線はずっと渋滞していました。
 そんな行楽シーズンスタートのお昼間、名古屋の市中から少し離れた会場に今日も集まって頂きました110名ほどの親子の皆さま。
 老舗のおやこ寄席だけあって、たくさんのリピーター(静岡からも来て頂いてました。何時に起きて下さったのでしょうね。ありがとうございます。)は勿論のことですが、初めての子どもたちもたくさん来てくれていましたので、紅雀さんと落語の中の人物を使い分けるときの上下(カミシモ)についての説明などしながら、紅雀さんのうどんの食べ方で盛り上がったところで落語のコーナーへ。
 紅雀「いらち車」、文我「愛宕山」「めがねや盗人」。「愛宕山」は、大人の会で演じる時も汗ビッショリになる大ネタですが、おやこ寄席でも、前半の愛宕山を登っていくところや、谷底に小判を取りに飛び降りたりそこからすごいアイデアで戻ってくる後半から終盤にかけては、子どもたちも息をのむほど真剣なまなざしで噺に没入してくれていたように思います。
 今日は録音を取っていたのですが、私の公演録音にずっとつきあって頂いてます草柳さんという技師さんが「ここはいつ来ても、どんなネタでも、最初からしっかり聞いて空気を作ってくれるいい会場だね」と、感心しておられました。私も全く同感です。
 汗はいっぱいかきましたが、気分はとても爽快。紅雀くんの熱演「いらち車」、文我の「めがねや盗人」も大笑いの内にお開きになりました。
 ところで、皆さんは「愛宕山」で出てきました‘かわらけ投げ’ってご存じですか?
 私もこのネタを演じるにあたり、一度実際にやってみたいと思い京都の神護寺まで出掛けて行き、やらせてもらったことがあります。これがなかなかコツがいるもので、落語で見せているようにはいきません。しかしながら風流な遊びには違いがありませんので、また機会があれば、皆さんも一度お試し下さい。但し、呉々も落語で一八がやってたような荒技はしないように!!

 この前、ランニングシャツで遊んでいる子どもたちを見かけました。心浮き立つ季節ですね。花粉症はイヤですが、どんどん外に出て遊びましょう。
 それと、この会の主催者、メルヘンハウス(千種区今池2−3−14)には、30000冊の絵本が揃っているそうですから、近くに来られたら是非とも立ち寄ってみて下さい。

2月18日(土)   中川コミュニティーセンター (三重県松阪市)

 本日行って参りましたのは、昨年から松阪市になりました隣町の嬉野町。自宅から車で30分もかからずに行けるのは、朝の弱い私には本当にありがたいことでした。
 助演の宗助くんと、4年生の末娘と共に会場入り。用意されていた部屋はステージ付きの多目的ホール。それと金屏風が半双。ところがこの金屏風が4人がかりで持たないと動かせないぐらい重い物で、最初は高さ75cm程の事務机の上に上げて高座とのバランスを取ろうと思ったのですが、不安定さを解消する手だてが無く、結局下に降ろすことに決定。笑ってもらうには、まず自分の安心が第一ですからね。
 屏風が決まれば、後は高座、客席、囃子場、受付とスムーズに準備が整い、いざ開場へ。毎度主催者の方に直前までくどいほどお願いする「未就学児はごめんなさい」を、今回も了解して頂いてましたので、このたびの受付では大人と子どもの受付場所を別々にし、子どものチケットには在学する学校名と学年を書いてきてもらい、受付で口頭にて再確認をするという二重三重の手順を踏んで頂いていました。実際年長児を連れてこられた方がいらっしゃいましたが、丁寧にお帰りいただいたようです。
 お陰様で、子どもも大人も100名を超す会場で、幼児が紛れ込むことも大きな混乱もなく、時間通り開演の運びと相成りました。ネタは、宗助「狸賽」、文我「四人癖」「平林」。たくさん集まったアンケートでは、「すごく楽しかったです。今日はいい一日になりました。(7才)」「とてもおもしろかったです。生の落語は初めてだったのですが、初めての落語が『柱(桂のつもり)文我』さんで良かったです。(11才)」「おもしろかったです。特に演技がうまかったです。(12才)」と嬉しい言葉をもらい、大人の方からは「子どもの笑い声を聞きながら、落語を聞くことが出来て楽しかった。子どもの楽しそうな声を聞くと心が明るくなった。」「子どもが大笑いしているのを見れて嬉しいです。」などおやこ寄席ならではの声が聞こえました。
 昨年、学校寄席でお世話になりました名張市の小学校のPTAの方も子どもさん3人と1時間30分ほどかけて来て下さり、今日は気楽にお客で聞けましたと帰りがけ楽屋に顔を見せて下さいました。来月学校寄席に招かれています隣の津市の主催者の方も来られていたようですが、地元三重県でも少しずつ広がりを見せていることは嬉しいことです。

 三寒四温を繰り返しながら春に向かっています今日この頃、と同時に花粉症の便りも聞こえて参りました。皆様呉々もご自愛下さい。

1月29日(日)   八日市図書館 (滋賀県東近江市)

 私がおやこ寄席を初めてさせていただいたのが、三重県の四日市市。本日伺ったのは、滋賀県にある八日市市。とは言っても、昨年の自治体合併により、現在では、「東近江市」となっておりますが・・・。
 当市は、年2回法泉寺という浄土宗のお寺で、「文我の会」をさせて頂いており、そのご縁で6年前から図書館でおやこ寄席をさせて頂くようになりました。
 図書館内の部屋でということで、キャパは100名程度。その加減もあり、1年生から募集すると溢れる可能性があるため、一回目より3年生以上対象とさせて頂いています。私のおやこ寄席では、通常1年生以上対象ですので、3年生以上というのはご当地のみなのですが、実はこの方が理想的ではあるのです。
 というのも、1年生と6年生では倍ほど年齢即ち人生経験が違いますから、1年生に照準を合わせると6年生には飽きたらず、6年生に照準を合わせると1年生はついて行きにくくということになりかねず、結局は3〜4年生に照準を合わせることになるからです。 よく小学校からの依頼で、500名以上の全校生徒に体育館で一斉におやこ寄席を見せてやってほしいというのがあります。理由は「体育館しか全員を収容できる場所がない」の一言なのですが、そんな時いつも私が提案させて頂くのは、低学年・中学年・高学年に分けて、普通の部屋でしましょうということなのです。
 そういう意味では、この図書館の場合、誠に都合の良いへやの大きさで、毎回子どもたちの顔の表情を確認しながら話を進めることができます。私のおやこ寄席ライブCDを聞いて下さったことのある方は、「時うどん」の最後で男の子が「おもしろかったなあ」と言いながら席を立つ様子まで録音されているのを覚えておられる方があるかもしれませんが、あれはここの図書館での風景でした。
 今日は、まん我「池田の牛ほめ」 文我「しの字丁稚」「うんまわし」 の三席。まん我くんの演りました「牛ほめ」は、新築の家をほめに行ってお小遣いをもらおうというお話なのですが、最初にその新築の家がどんなすばらしい建て方をされているか紹介する場面があります。以前ある大工さんが聞いておられて、こんなすごい家は今では建てられませんとうなられたそうですが、大人でも、初めて聞くとなかなか全文理解しイメージすることが難しいと思われるフレーズや専門用語が出てきますので、1〜2年生の混じるおやこ寄席ではあまり出ないネタですが、今日は3年生以上ということで思い切って演ったところ、よくウケたので、まん我くんもホッとしていました。

 雪の残る八日市市改め東近江市でしたが、気持ちはみんなとてもほっこりして帰途につくことが出来ました。

1月15日(日)   かるぽーと 小ホール (高知県高知市)

 前日の愛知県知多郡武豊町でのおやこ寄席と独演会を終えると、急いで車に乗り込み一路高知へ550キロの道をひた走ります。会館の都合でハードと承知しながらの強行軍。どうぞ雪で道が渋滞していませんようにと祈っておりましたが、幸いにもここ数日だけ暖かい雨が降り、高速も雪がみんな解けてしまっていました。高速を乗りつないで高知のホテルに着いたのが午前1時40分。軽く食事をして、ぐっすり休ませて頂きました。
 明けて15日、会場へ向かいます。高知でのおやこ寄席も今年で2回目。但し去年は私一人でさせて頂きました。今年は主催の高知こどもの図書館の皆様やお客様のご要望にお応えして、お囃子入りのフルバージョンです。会場も去年の図書館から飛び出して、市内のホールへバージョンアップ。こういうのって嬉しいですよね。
 去年同様の優しい主催者の方々の笑顔にほっとしながら、舞台作りに取りかかります。またここの舞台制作のスタッフは若くてきびきびしていて協力的でとても気持ちよく準備できました。私たちの仕事はお客様に笑顔を作って頂く仕事ですので、開演まで自分たちが気持ちよく過ごせるというのが理想です。主催者の方々はどなたも協力的ですが、ホールの舞台スタッフの中には、時として自分たちのマニュアルを出演者に押しつけて来られる方があり、その方を納得させるのに非常なエネルギーを使わなければならない場合があります。その点、昨日の武豊といい今日の高知といい、満点以上でとても嬉しくなりました。
 紅雀「つる」、文我「うんまわし」「しの字丁稚」。子どもたちの反応も良く、終演後「しの字丁稚」のCDを探す子どもたちが何人もいましたが、残念ながら「しの字丁稚」は、本でもCDでもまだ出ていません。今日の高知の録音を取っていれば、即CD完成だったのに残念なことをしました。また、来年も会えたら嬉しいですね。
 夜の独演会では、私の師匠・桂枝雀の独演会に出して頂いていた折りお世話になった主催者の方々にも久しぶりにお会いすることが出来、感激致しました。
 まさか高知で自分の会を開いて頂けるとは思ってもいませんでしたので、主催して頂いた図書館の皆様や、仲を取り持って頂いた、翻訳家で法政大学教授の金原瑞人先生に改めて感謝感謝です。

 終演後は大好きな栗焼酎「ダバダ火振」をゆっくり味わいながら、会の成功を喜び合いました。

2006年1月14日(土)   武豊町民会館 (愛知県武豊町)

 今年で2回目の武豊町でのおやこ寄席。2年前に新しく建った町民会館での開催です。前日は名古屋・大須演芸場での文我独演会でしたので、終演後、武豊に移動して宿泊。宿泊はたいていネットで取るようにしています。去年も前日に近くのホテルで泊まりましたので、今年もそこに泊まろうと探してみたのですがいっこうに見つかりません。仕方なく、別のホテルを予約したのですが、なんと去年のホテルは某設計士、某建築会社によって建てられた物件で、改修も難しいほどの危険度だったらしく建て直しになることが決定したらしいのです。今日国会での参考人招致の中継を見ておりましたら、そのホテルの社長さんが被害者代表で出ておられました。新しくて綺麗で、従業員の皆さんの対応も良かったのに、何と申し上げて良いのやら・・・・・。
 何はともあれ翌朝、一路会館へ。てっきりナビが案内してくれると思いきや、建設前のナビだったらしく電話番号でも施設名称でも探し出せず、早速電話でSOS。
 ようやく会場にたどり着き舞台作りに取りかかりました。ここのホールは五角形ですが、キャパ150のとても落語会に向いているホールです。ボランティアのスタッフの方々もとても気持ちよく動いて下さいます。準備万端でいよいよ開場。ふと見れば、文我手拭いで作った帯を締めた親子連れの姿(BBSにも投稿して下さいました)。こういう歓迎をしていただくとやはり嬉しいですよね。
 紅雀「寿限無」、文我「しの字丁稚」「四人癖」。「しの字丁稚」では「し」をうっかり言ってしまわないかとても気を遣いますが、なんとかクリアー出来ました。丁稚さんの出てくるネタには、「平林」「しの字丁稚」「おしりつねり」などがありますが、この丁稚という制度、今では子どもの頃から働きに出されるという事など考えられませんが、少し復活させてもいいのかなと思ったりする制度です。
 先ほどの着物姿のご家族だけでなく、「この紙芝居、私やりたい。あ、これも。それと、これも。」と結局5冊も紙芝居を買い込まれた親子連れにもお会いしました。

さあ今年も子どもの笑顔に一人でも多く出会えるよう、おやこ寄席、がんばります。勿論大人の会も。
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